会社のオフィスレス化
インターネットが本格普及しだした頃から、オフィスそのものを不要にする、もしくは分散小規模化するオフィスレス時代が到来すると言われていたが、現実的には、オフィスレスに踏み切れる会社というのは少ない。
せいぜい、一部の会社で、社員が自分の机を持たないフリーアドレスオフイス(ノンテリトリアルオフィス)を採用している程度であると考えられる。
2007年現在、日本の景気も回復し、多くの会社は、何気なく、従来通り、オフィスに社員が来て仕事をするというスタイルで満足しているように見受けられる。
なにせ、既存のシステムを変えるのは大変な冒険だし、労力が必要だから、簡単には変わらない。それに、周りの目というのもある。 オフィスレスにすると
「怪しい会社」 とか 「この会社、倒産するんじゃないか」 とか受け取られかねない。 だから、今のところ、オフィス需要は好調のようだ。
しかし、ひとたび大きな不況の波が来たら、状況は一変するだろう。 なにせ、オフィスレス化のメリットは大きい。 フロアコストが不要になるのはもちろんのこと、通勤時間・通勤コストが不要となるのだ。
しかも、ノートPCに国内どこでも無線でインターネットができる通信カードを挿しているようなモバイル環境が整備されている状態まで持って行けば、機動力だって今までの比ではない。
追記: 2008年後半からの景気悪化で、予想通り、オフィス離れが加速。 空室率アップで、新規のオフィスに至っては借りてがつかないそうだ。つまり、上記のことが、実際に起こったということになる。
それにしても、、オフィス離れが加速すれば、オフィスビルも不要となってくるわけで建設会社の仕事も減ってくる。 ただでさえ公共事業削減の波で建設会社の仕事が減っているところに、この状況が重なった今、建設会社の倒産は史上空前と言っても良い状態で、目も覆いたくなる惨状だ。
優秀な技術を持った会社まで倒産し始めており、さすがに、そうれはまずいと感じる。 |
僕の会社の場合・・・
僕の会社 「翻訳会社ソリュテック」 も、昔、立派なビルに入居していた。 通行量の多い国道の交差点という目立つ場所に建つ、真新しいビルの1階と2階を使い、華々しく活動していた。
これには優秀な社員を集めたいという狙いがあった。 当時は、まだ、創業間もないベンチャー企業であり、優秀な社員を集めるには、それなりの魅力が必要だった。
しかし、結局、途中で、それは無駄な事だと言うことに気がついた。 そもそも、優秀な人材などというものは絶対数が少ない訳だし、それらの人材は既にそれなりの会社に就職し落ち着いているか、学生であれば、それなりの会社を目指して就職活動を行う訳だから、当時の僕の会社のような、創業間もないベンチャー企業に就職したいという奇特な人は皆無に等しかった。
そして、なんだかんだしているうちに平成不況が到来。 これにより業績が低迷。 大家さんと交渉してフロアの賃料を下げてもらったが、それでもフロアの賃料という固定費は経営上の大きな負担で、最終的には、立派なオフィスは不要であると結論付けた。
建物が立派な会社は、社員の無駄使いも多いように感じる。 自然と意識の違いになって現れてくるようだ。 自分のことにはケチな人も、会社の電気、水、コピー、文房具、備品などなどとなると、気にせずに使ってしまう社員の何と多いことか。
また、それをコントロールしようとすると、このコントロール自体も人件費などのコストがかかるのである。
小さいことかもしれないが、今の会社というのはギリギリの所で生きるか死ぬかが決まるような所があって、もし、それらを放置していれば、シロアリが建物を倒すのと同様に会社も倒れるのである。
そして、ビジネスがうまく行っている時はまだ良いが、不況などで業績が下り坂になった時に、そのフロアコストが経済的にも、そして、経営者にとっては精神的にも大変な重荷になる。
このとき、経営者の胃の中は、荒れ放題に荒れる訳だ。
そうならない一番の理想的な道は、会社の社屋を持たないこと、つまりオフィスレスなのだ。
|